PRESERVING
PRESERVEプリザーブとは
昔から伝わる食品の保存方法です。私が職としている燻煙もその手法の1つです。ポークジャーキー等のように乾燥方もその1つです。古来より中東ではいろいろな食品保存方法が生まれていました。新鮮は食品の入りにくい地域だからこそ生まれた手法でしょう。塩漬け、砂糖漬け、アルコール漬け、オイル漬けなどの保存方法を総称してプリザーブと言うわけです。ただただ腐敗を防ぐのではなくおいしくさせながら腐敗を押さえて保存するということがこのプリザービングの大きな意味と目的です。酢とワインにハーブを入れて沸かしさめたところで野菜を入れて殺菌してからおいしく保存するピクルス、これがまさにプリザービングです。
乾燥&燻煙、塩&砂糖、酢&油・脂について話を進めます。
乾燥&燻煙
食べ物が腐る原因や理由を断ち切れば食物の腐敗が止まったり遅くなったりします。プリザービングの原点は、ここです。そして、食べ物は、ある条件のなかである一定時間が経つとおいしくなることが良くあります。これも、原点の1つだと私は思います。目的は「食べ物をおいしくしながら保存する。」です。では、食べ物腐敗はなぜ起こるのでしょうか?有機物が自然界の酵素・酵母・カビ・バクテリアなどの成長がその原因です。これらの成長には、ある一定の酸素と湿度とpHバランスと酸素が必要です。この条件のどれか1つではずれると食物の腐敗は止まったり速度が落ちたりします。昔の人たちは防腐する方法をたくさん考えてきました。人類が最初に行ったプリザーブは乾燥でしょう。肉を外で干し日光と自然の風で乾燥させたら、食欲をそそる香りが出てきて生肉よりも日保ちがして、軽くなるので運搬が出来るようになり、保存も出来るようになったのでしょう。こうなると、食べ物を追いかけながらの生活ではなく川の近くに集落などを作り食糧供給の組織化や食生活設計ができるようになった。また、日差しも弱く、日照時間も短く、湿度の高い地域では、薪などを炊いて火と煙の力を借りて肉などを乾燥させると焚き火から出る煙で燻された肉や魚が良い香りになり煙の粘膜でコーティングされて更に腐敗しにくくなる。こうして考えるとドイツ、オーストリアなどの地域では燻煙法の食肉の加工品が古くから伝わり、イタリア・スペイン・南米では、天日自然風乾燥の食肉加工の文化が伝わっているのも頷けます。
塩&砂糖
塩が素材の中に入っていく作用により食品を脱水する作用で腐敗菌が生活しにくい状態になって食品を美味しく保存することが出来るのです。塩漬けの肉や魚は、中世では、貴重な保存食となり塩は、更に高価で貴重なものとなり長期に渡る航海に大変都合のよい食品でした。当時のヨーロッパ人たちの探検、植民に塩は大きな貢献をし世界の歴史を変えた言えるでしょう。砂糖はかなり遅く出てきた物ですが、塩漬けされた肉が堅くなるのを中和する作用があったり、フルーツや野菜を砂糖といっしょにその他の香辛料と煮炊きすることによりシロップやジャムなどの保存食を作ることに大きく貢献し現在の人々の味覚を大きく変えた物です。
酢&油・脂
プリザービングに重要な素材の1つに酢(ビネガー)があります。酢が作り出す酸性の環境の中で腐敗汚染菌は、繁殖することが出来ません。ブドウ栽培が盛んな国では、ブドウから酢を作ります。小麦やその他の穀物から酢をつくる国もあります。東洋では、米や果物から酢を作ります。ワインをはじめ果物、穀類をベースにしたアルコール性醸造物が空気に触れるとアルコールが酢に変わります。酢は、その昔最も重要な調味料でした。ディップ(浸し液)として利用されあまり味のない物、あるいは味の強すぎる物に風味や水分を加えたのです。苦い野菜類は、酢に浸してから食べられましたが今日のマリネやドレッシングの前身でしょう。また、昔の人たちは、食品に空気を触れさせない食品保存法に気づきました。ローマ時代には、肉の保存に空気を通さない蜂蜜とオリーブオイルが使われていました。寒い北国では、動物の脂がつかわれていました。この方法でパシュテーテ(パテ)やリエット、コンフィ(調理済みの豚のひき肉を壺に入れてその動物性の脂で蓋をしたもの。空気を遮断しています。)が生まれました。現在の真空パックや缶詰、ビン詰めの原点です。
PRESERVING 99/5/13