ヨーロッパ視察旅行 2019

3年に1度ヨーロッパへの視察旅行を組む、今年で4回目か5回目、同業のハムソーセージ店のオーナーたちとお勉強の楽しいツアーです。1人では、訪ねられないところや、みんなで行くから工場内を案内していただいたり現地在住のガイドさんが通訳として解説もしてくださる。みんなと行くツアーだからこそのおもしろさがある。

今回のツアーは、3年に1度ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大級の食肉業界の展示会:IFFA(イファ)の見学をはめた。ここでハムソーセージのコンテストも開催される、3年前は、みんな出出品したが、今年は、アジアに広まる豚コレラの影響でアジアからの出品はキャンセルされた。残念だが仕方ない。気を取り直してみんなで楽しい旅にしたい。

目的地をざっくりと組んでから、旅行会社と現地のガイドさんと細かい見学先を設定していきます。今回は、今までに無いくらいグイグイと視察先を入れ込みました。きっとお土産を買うチャンスは、帰りの空港のみでしょう。コースは、ドイツ・フランフルトで展示会を見学して、フランクフルト1番とぼくが思う名店”EBERT”さんの見学。翌日は、早朝よりイタリア・ミラノに飛び有名なエイジングビーフのお店の見学とエイジングビーフのランチ。その後、パルマへ移動。イタリアの生ハムの聖地パルマでは、生ハム工場とパルマ生ハム博物館を見学して、更にパルマ名物のパルメジャーノレジャーノ工場の見学。その後、北上してチロル地方へ、チロルという言葉はよく耳にするが、行ったことが無い。チロルには、特有の生ハム”シュペック”がある。シュペック工房は、2カ所見学する。更にチロル名物のビール工場も見学。ハムソーセージに関係するチーズ、ビールも学びましょう(W)。チロルから更に北上してミュンヘンへ。ドイツソーセージと言えばやはり”ミュンヘン”は外せない。そして、ミュンヘンからザルツブルグ(塩の丘)という名のエリアで岩塩の採掘場の見学。ミュンヘンでおいしいビールで打ち上げて帰国すると言う、かなりハードなプランになりました。

羽田空港に集合。なんと別のハムソーセージの視察ツアーと同じ飛行機で、楽しい羽田となりました。帰りの飛行機も同便で、目的のフランクフルトの展示会も同タイミング。楽しくなりそうです。

フランフルトに着き、空港近所のホテルへ移動して各部屋に入ったのが夜の10時頃、街までは遠いのでとりあえずは、ホテル内のバーで最初のノロシを上げることに、部屋からみんなが集まってビールで乾杯です。

左がヴァイスビア:フルーティな白濁のビール  右は、一般的なドイツビール:ピルスナー

 

翌朝は、開場前からメッセへ出かけて広い会場をじっくりと見学です。

夢中になりすぎて写真を撮らなかったので、イメージ画像をお借りしました。ごめんなさい。

夕方まで各自でじっくりと開場を見学してから、フランクフルトの名店”エバートさん”を見学、お店にいっぺんに入るとご迷惑をかけるので数人づつ順番に見学をさせていただきます。

せっかくなので、少々購入して試食です。やはりドイツの大都会でNo.1のお店、どれもこれも流石です!

街を散策しながら、夕食のお店へ、もちろんドイツ料理です。

いよいよドイツ・イタリア・チロルの旅が始まりました。

ドイツソーセージプレート・ザワークラウト&マッシュポテト添え

アイスバイン

コルドンブルー:叩いた肉とチーズや生ハム一緒に揚げるカツレツ

 

早朝よりミラノで飛んできました。

ミラノでは、有名なエイジングビーフのお店のみ。

街はずれの高級住宅街のなかにポツンとあるお店。”カルニ デル ピエモンテ モッタ”ピエモンテ産牛肉のお店モッタさんです。イケメンのマスターは、パワフルで肉の話が止まらない。エージングビーフだけでなく豚肉の話、ハムの塩漬けの話と次から次へと話がどんどん進みます。日本の一般的な肥育期間の3倍ほど育てた牛肉は恐竜のように巨大。豚肉もこれが豚肉か!?と思うほど大きい。ハムの塩漬けは、血管に塩水を流し込むという不思議な手法。説明を伺うと理にかなっているが、少し疑問も生まれる。日本に帰って是非試してみたいと思います。

パワフルな講演の後、お店の裏から出てランチをいただく彼のレストランへ移動しているときに運河が見えてきた。よくよく、話を聞くとなんとこの運河は、レオナルド・ダ・ビンチの設計とのこと、ルネッサンス期だから14世紀に作られた運河がまだ現役で使われているとは、流石、天才デザイナー。この運河は、何を運ぶために作られたのかは、流石に文献がありませんが、農作物であろう。とのことです。イタリアで有名なトマトは、まだこの頃イタリアには入っていませんから当時の農作物と言えば麦とリンゴ、オリーブ。牛に豚でしょうか。

モッタさんのお店は、この運河(マルテザーナ運河)とローマ通りの交差点の近所です。再び訪ねるときの目安になります。

 

ミラノエージングビーフのランチの写真は、ごめんなさい。うっかり食べてしまいました。ただ、炭火で焼く為のオーブングリルの写真だけあります。

止めどなくでてくる、牛肉と生ハムと豚肉次々に食べているとどんどん出てくる(W)もうお腹いっぱいです。とお料理を止めていただくと「日本人は、小食だ!」と言われてしまいました。ぼくたち日本人のななかではかなりお肉いっぱい食べる方なんですけど、、、(W)

 

お肉で膨らんだお腹を抱えながら、バスに乗り込んでパルマへ移動です。

いよいよイタリア・パルマの生ハム工場です。パルマの生ハム工場を訪ねるのは、3回目。学生の頃、初めてパルマの生ハムと出会ったときにひょんなことから見学をさせていただきました。このときの工場見学がぼくをハムソーセージの道に導いたと言っても過言ではありません。その後、今から20年ほど前に単身でパルマの生ハム工場を訪ねました。やさしい社長さんが私の願いを叶えてくださいました。そして、3回目。実際に生ハムを作るようになってから初めてのパルマ生ハム工場の見学です。まさか、こんなに衝撃をうけるとは思っていませんでした。

縦に長い窓がパルマの生ハム工場の特徴です。この窓から生ハムを熟成する為の風を引き入れます。

パルマ生ハムになる為の厳しい基準

肉の肥育環境から、サイズ、脂の厚み、肉の厚み、脂の質、カッティング、血管の状態、キズその他たくさんの項目のチェックをクリアしないとパルマ生ハムになれません。

そして、更に、塩漬から洗い、熟成そしてマテンカ脂の刷り込み、更に仕上げ熟成。そして検査官のきびしいチェックの元パルマ生ハムが誕生して刻印をおされます。

パルマハムである証の王冠の刻印。

この3枚の写真は、塩漬の情況の大切なカ所です。まずは、この庫内温度計の温度の波形と湿度の波形です。一定の範囲内を最大限に広げて肉と塩が関わるのをコントロールしています。お話を伺うと、この塩漬の段階でしっかりと行程をクリアしていないと、後の熟成期になにをどう頑張ってもどうにもならないそうです。逆に、この時期をしっかりしていれば、肉にも菌にも体力がついてよっぽどのコトが無い限り熟成でずれることは無いそうです。おいしい生ハムの勝負は、既にここから始まっています。1回目の塩漬け、2回目の塩漬けそして、表面の洗いのデータもしっかりついて行きます。

まずは、5日間の塩漬、そして表面の洗浄後、2度目の塩漬を16日間、合計21日間となります。スペイン・サラマンカで見た塩漬より、方法が大分違いますが、1.5倍の日数が係っています。

皮が縮まり、肉の表面が乾いてきた状態。

その後、地下の温度と湿度が安定した熟成庫で柔らかい冷風で180日程度の熟成で表面が乾いてきた皮が縮まってきたら、マテンカ脂を肉の表面にぬります。その後安定したじょうたいで80日間。その後に最上階へ移動して風をあびます。540日が経ってから5カ所にチェックステッキ(馬の骨のクシ)を刺して熟成具合と風味を確認します。ここで合格したものだけが、パルマハムの刻印を押されます。

マテンカ脂をぬられて安定期に入る状態。

最上階の仕上がりつつある生ハムのトンネルの中でミラノ熟成牛のモッタさんも一緒に記念撮影をしてきました。

ありがとうございました。

翌日は、パルメジャーノレジャーノ工場へ

こちらも、生ハム同様、きびしい条件のなか生乳が搬入されます。歴史的な伝統製法で製造されきびしい管理とチェックのなかあのおいしいチーズができます。

見事なチームプレイと歴史と伝統が作り上げたパルメジャーノレジャーノでした。この熟成中の積み上げられたチーズたち、何度見ても圧巻です。搾乳後、2時間以内に加工を始めないとならないパルメジャーノレジャーノ作り、低温で焚いてホエーを分離させます。そのホエーは、保存して乳酸菌を自然培養します。分離された乳の凝固部分を1釜で2つに分けて型に入れます。その後乳酸菌を培養したホエーを用いてチーズの熟成が始まります。余ったホエーは、生ハム用の豚肉の飼料として使用されます。横につながった農業の共同体がパルマにできています。

30カ月、36カ月熟成などのチーズをゲットして酪農と豚の町パルマを後にしました。 さぁ、目指すは、チロル!初めて訪ねる地です。

パルマから走って2時間ほどの町、TRENTOトレント、チロルの入り口の町です。ここでランチとなりました。このツアー最初で最後の肉類の無い食事です。みんなに少し余裕の表情が見えていましたが、つかのま

このリゾット多いよね?日本の3倍位ある〜。これ1人分?という量の立派な白アスパラ!

5月にヨーロッパに来るとあちらこちらで白アスパラをいただきますが、ここの白アスパラの味わいの深さと大きさがダントツでした。本当においしかった。でも、この半分くらいの方がホントは、うれしい。

 

さらに、チロルへボルツァーノBOLZANO目指して更に山の中へ

THE TIROL!ボルツァーノ郊外のスペック工房のテラスから

 

ファミリー経営のほのぼのとしたスペック工房、養豚、酪農、鶏卵など農業一家が営むすてきなスペック工房。

※スペック(Speck)とは、チロル地方独特の生ハムです。塩の他にハーブ、ワインなどを一緒に仕込む爽やかな風味の生ハムです。まずは、こののどかな景色をお楽しみください。

工房の見学の前に「とにかく食べて」とランチ後にスペックとサラミがどんどん出てきました。どれもこれも素朴な風味がおいしかった。ぐるめくにひろのペッパー&ハーブに近い味わいのものが多く、???が並んだどうしてこんな風味になるんだとう?ハーブ?ペッパー?木の実?そして白カビ?まったくそのとおり、ペッパー&ハーブそっくりの製造方法で作られていた。スペックの現場を見るのは、初めてだがもしかして、ペッパー&ハーブは、ここにルーツがあったのかもしれない!

驚きと感動の中、ボルツァーノの街のホテルに入りました。山のなかの町とは、思えないようなしっかりした街でびっくりしました。なぜ?こんなに山のなかで豊かな町なのだろうか?そう言えば、郊外のスペック工房のまわりも新しい家ばかりで立派でした。この地は、長い歴史のなかでドイツ圏とイタリア圏が交互になっていたようです。そして現在では、イタリア圏なのですが、街の中の標識は、全てイタリア語とドイツ語の併記。ここは、イタリア国内ですが、ドイツが供用語のように使われて、教育もドイツ語のほうが人気が高いようです。このチロルの人気の秘密は、高い生産性をもっている農業のようです。まるでアルザスのようなフランスとドイツの文化の混合のような素敵な食文化がこの地でも広がっていました。

チロルは、あと1日。1年ほどかけて企画してきた旅も終盤を迎えます。

今日は、チロルのビール工場の見学です。イタリアと聞くとワインがメインですが、ビールもなかなかおいしいです。

家族経営ときいていたのですが、想像をはるかに超えた大規模のビール工場のようです。でもその製法には、深いこだわりがあるようです。工場内の写真が無くて申し訳ございません。タンクばかりで何をやっているのか画像では伝わらないのでほとんど撮影していません。この方が説明をしてくださいました。

このメーカーでは、強制的な製造を醸造をしていないとのことでした。イタリア産の麦を独自のフィルターにかけて選んで、この地の豊富な水源で洗浄してから使用します。

麦を低温でねかせてから4種類の温度の水蒸気で麦芽にします。この水蒸気の温度の違いで濃い茶褐色から淡い茶色、ベージュ、明るいベージュと4色の麦芽になり、その後2時間半程ねかして糖分をそれぞれが生成します。この糖分の量と味わいでビールの風味味わい、色が異なってきます。この麦芽汁にドイツ産のホップを加えて下面発酵が始まります。ホップは、ドイツ産がおいしいとのことです。流石ビールの郷ドイツです。発酵が終わってからこちらでは、濾過しないようです。超低温で沈殿させてその上澄みをビールにします。長い長い説明を聞きながら最後の試飲会を楽しみしていたのですが、試飲は、無く。「有料ですがバーで私たちのビールを楽しんでください。」でした。みんなで苦笑いをしながら午前中からビールの試飲を3種類ほどしました。不思議にさわやかで深い味わいのおいしいビールでした。

チロル最後の見学は、BIO SPECK。

若い夫婦が営む小さな養豚から一貫しているスペック工房です。なんと言っても、1人では来れないだろうと思う山奥、キット無理です。その山奥にかっこいい農場と工房がありました。

子豚を買ってきて肥育からスペックの生産と少しだけカフェもやっているとのことでした。養豚場も、スペック工房も、カフェも、ラックも、テーブルもみんな彼の手造りだそうです。テーブルが特にかっこよかった。スペックとサラミをつくっていて、サラミに使うスパイスは、ぐるめくにひろと同じドイツメーカーでした。サラミを充填する機械も同じメーカーでした。

彼のこだわりは、フランクでありながら的を得ていて、とても共感できました。豚の飼料にも、サラミにも、スペックにも余計なモノを与えない。自然が作る旨味。時間が作る旨味。心から楽しもうという思い。これが一番大切と言っていました。ランチをご馳走になりながら、この素敵な自然の色と味わいはすばらしい!今回の旅でダントツ1番美味しかった。びっくりするほど美味しかった。ぼくも、負けてはいられない。かっこいいお兄チャンだった!

イタリア3日間の視察は、盛りだくさんながら、全て無事に滞りなく終了しました。ミラノからお世話になった池田ガイドさんともここでお別れして、我々はドイツ・ミュンヘンへ北上します。池田さんの豊富な経験と豊富な知識を加えていただいた通訳と解説で大変勉強になりました。また、明るい優しい人柄のおかげ楽しいイタリア視察になりました。この場を借りてお礼をさせていただきます。ありがとうございました。

さて、私たちは、オーストリア・インスブルックを抜けて残雪のアルプス山系を眺めながら更に北のミュンヘンへ帆をあげて進みます。なぜか、ミュンヘンが近づくとテンションがあがります。

さて、ミュンヘンに到着。

まずは、ソーセージとビール。ずっとソーセージとビールをしてきたような旅でしたが、ミュンヘンは格別です。明日は、食肉関係の資材屋さんでそれぞれ仕入れをしてから、ザルツブルグ(塩の丘)の方へ岩塩の採掘場の見学です。とうとう、最後の見学です。

さてザルツブルグ岩塩採掘場

まず、遊びでは、無く。お勉強です。ビッグサンダーマウンテンのような写真がありますが、これも見学コースです。ドイツ・オーストリア国境近くの岩塩採掘場の見学です。採掘スタッフ同様のつなぎのユニフォームに着替えて、当時から使われていたトロッコにのって採掘現場へ降りていきます。トロッコを降りて鍾乳洞のようなところか更に下ります。その手段が滑り台です。全長50メートルのやや急な勾配の滑り台、ちょっとだけ楽しみました。館内は、撮影禁止。日本語の解説をしてくれる端末をもって回ります。掘り出した塩水を高低差を利用しながら濾過紙ながら陸上へくみ上げていくポンプ、手作業の採掘が、小さなドリルの開発によりスピードが2倍になり、大きな重機を導入できるようになってからは、6倍になったそうです。当時の塩の貴重さが身にしみる見学でした。ここは、日本にも輸入されているアルペンザルツがスポンサードしている現役の岩塩採掘場です。道すがら、川の水があまりにもきれいでおどろいていました。岩塩の採掘には、このきれいなわき水が必要です。最後の見学を終えて記念撮影しました。

ミュンヘン最後の夜は、ミュンヘン最大のビアホール、ミュンヘン最古のビアホール、ミュンヘンで一番たのしいビアホールです。

ビールジョッキは、2リットル。PROST!カンパーイとジョッキをならし楽しい1週間を振り返りながら多いに飲み、多いに語らい、多いに笑いました。2次会は、向かいのハードロックカフェ!更にグループごとにミュンヘンの夜を楽しみました。

楽しい3年に1度の視察旅行が終わりました。幹事としましてはみんんが始終笑顔で楽しめて、事故も病気も無く帰国できたことが何よりです。羽田空港で解散しても切れ味の悪い尾を挽くような名残惜しいかんじでした。「締めに飲みますか?」とのこえもありました。みんが楽しくできて何より良かったです。終始笑顔の添乗してくださった庄司さんのご尽力にも感謝いたします。若いのにおっさんたち面倒くさかったでしょう!ありがとうございました。何より、メンバーが気の合う愉快な方たちのおかげです。また、みんなでヨーロッパへ勉強に楽しく出かけられる日を楽しみにしています。ありがとう!